Vol.23 カラーユニバーサルデザイン
皆さんは、「カラーユニバーサルデザイン」という言葉を耳にしたことがありますでしょうか。カラーユニバーサルデザインは、略称「CUD」と呼ばれており、人間の色覚の多様性に配慮し、より多くの人に利用しやすい配色をおこなった製品や施設・建築物、環境、サービス、情報を提供するという考え方のことをいいます。
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色を使った情報
色は見る人の心を動かす力を持つと同時に、情報を整理し強調することで、より分かりやすく効果的に伝える力もあります。現在社会では、公共施設の案内表示・工業製品・情報機器・印刷物・報道・教科書など、ほとんどのものがカラーで表現されています。しかし、色の見え方には個人差があるため、人によっては一部の色の組み合わせが区別しにくく、不便さを感じるケースもあります。
男性の約20人に1人が「色弱者」
色覚検査で先天性の色覚異常とされる方は、日本人の場合、男性の約20 人に1 人、女性の約500 人に1 人、全国で約320 万人いるといわれています。これは遺伝子に由来した特性で、血液型と同じく1つの個性といえます。
また一般的な色覚の方の中にも、白内障患者や緑内障患者、弱視(ロービジョン)者など、疾病等により他の人と色の見え方が異なる方もいます。こうした色覚多様性に配慮したデザインが、社会的に求められています。
実際の見え方
色弱の方は、P型・D型など、そのタイプにより色の見え方が異なります。以下は、一般色覚者の見え方に対するP型・D型の見え方をシミュレーションしたものです。
※このシミュレーション画像は、一例として再現したものであり、色弱の方が感じている色を完全に再現したものではありません。
カラーユニバーサルデザインのポイント
カラーユニバーサルデザインのポイントについて、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構では以下の3点を挙げています。
①出来るだけ多くの人に見分けやすい配色を選ぶ
彩度(色の鮮やかさ)は「高い色」と「低い色」を組み合わせ、明度(色の明るさ)は「明るい色」と「暗い色」を組み合わせると見分けやすくなります。
②色を見分けにくい人にも情報が伝わるようにする
形を変えたり、マークを併用すると、色を見分けにくい人にも情報が伝わりやすくなります。形やマークの大きさはできるだけ大きくし、色の違いが分かりやすいように配慮することがポイントです。
③色の名前を用いたコミュニケーションを可能にする
色の名前を用いてやりとりがされる可能性があるものには、色の名前を記載することで、コミュニケーションが図りやすくなります。
参考文献:
「カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック 第2版」カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット制作委員会製作・発行
「すべての人にやさしい情報を届けよう~視覚情報のユニバーサルデザインガイドブック~」愛知県健康福祉部障害福祉課発行
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