Vol.16 涙のはたらきとドライアイ

私たちは、嬉しいときや悲しいとき、悔しいときなど、感情が昂ったときに目から涙を流します。しかし、涙は感情によってあふれ出るものだけではありません。 目の表面には常に涙があり、潤った状態を保っています。今回は、涙のはたらきと、涙が乾いてしまう症状「ドライアイ」について紹介します。

2種類の涙 それぞれのはたらき


私たちの涙は、2種類に分けられます。1つ目は、「基礎分泌の涙」です。これは、目の表面に常に供給され蓄えられている涙のことです。 この涙は、目の表面を乾燥から守ったり、酸素や栄養素を運んだりするはたらきがあります。 ごくわずかな量ですが、目にとってとても大切で、目の表面が必要とするビタミンやタンパク質を供給し、外から入ってきたゴミや、古くなってはがれた細胞を運び去る役割を果たします。

2つ目は、「刺激・反射性分泌の涙」です。これは、感動したときや悲しいとき、感情によって出る涙、 タマネギの成分の刺激により出る涙、目にゴミなどが入ってしまったとき、異物を素早くを洗い流して目の健康を守るために反射的に分泌される涙などをいいます。

鏡で、上下のまぶたの目頭を見てみると、小さな穴が見つかります。 これは涙の排出口で、古くなった涙はここから吸引されるように鼻腔のほうへ流れていきます。

涙が乾くドライアイ


目の表面には常に涙があり、涙が目にとって大切なはたらきをすることを紹介しましたが、 目の表面に涙が十分に行きわたらず乾いてしまうと、目の痛みや充血、疲労感や不快感といった症状が現れます。 このような乾き目の症状を「ドライアイ」とよびます。ドライアイは、その予備軍も含めると国内で2000万人の患者がいると推測されています。

ドライアイの原因はさまざまですが、パソコンを使った作業の増加や、コンタクトレンズの長時間の装用、空気の乾燥、まばたきの減少などが原因であると考えられています。

ドライアイの治療には、手軽な目薬がおすすめされています。涙に近い性質を持った人工涙液(じんこうるいえき)タイプの目薬が基本になります。 不足する涙を補うもので、長期的な使用もできるため安心です。 他には、視力が低下して眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っていないと、目をこらしてものを見るためにまばたきが減ってしまい、ドライアイとなることもあります。 このため、視力の再検査も大切です。 また、パソコンを使用する際は目の負担をやわらげる工夫をしたり、空調や湿度を調整して目にやさしい環境を作ったりすることを心がけましょう。

涙の大切なはたらきを知り、目にやさしい生活を送りましょう。

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