Vol.21 まばたきの役割
眼の表面には常に涙があり、潤った状態を保っていると「Vol.16 涙のはたらきとドライアイ」で説明しました。今回は、眼の潤いを保つために重要な「まばたきの役割」を紹介します。
まばたきの種類
まばたきとは、目を開けたり閉じたりする運動のことです。
まばたきには、
①私たちがいつも自然におこなっている「周期性まばたき」
②目に光が差し込んだときなどに反射的にとじる「反射性まばたき」
③ウインクのように意識的におこなう「随意的まばたき」
の3つの種類があります。
まばたきの働き
眼は、涙によって守られています。目をずっと開けたままでいると、外の空気にさらされ、いずれは乾燥してしまいます。それを防ぐためにとても大切な働きをしているのが、「まばたき」です。このまばたきは、まぶたにある筋肉の収縮によっておこなわれています。この筋肉の収縮により、涙腺から出ている涙を眼の表面へ運び、涙の薄い膜をつくります。
この膜は層になっており、ムチン層・液層・油層の3層からできています(図1)
この層の中で、目の表面(角膜)と接している層(ムチン層)は、少しねばねばしたムチンと呼ばれるタンパク質でできており、涙が角膜によくくっつくように助けてくれています。また、目の一番外側は油の薄い層(油層)がおおっています。この層にある油が、まばたきのたびに涙の膜をおおい、目が乾くのを防いでいるのです。
まばたきの回数
私たちは、このまばたきを1分間に約20回繰り返しており、1時間で1,200回、1日16時間起きているとしたら約1万9,200回、1年で約700万回、70歳まで生きたとしたら、なんと5億回まばたきをすることになります。
しかし、パソコンやスマートフォン、ゲームに夢中になり長い時間画面をじっと見ていると、まばたきの回数は減り、涙が出る量も減ってしまいます。涙が少ない状態が続くと、眼の表面は乾燥し、傷つき、「ドライアイ」になります。乾燥により涙の膜が不安定になって、視力が低下することもあります。
また、画面をじっと見るくせがついてしまうと、まばたきの回数が減り、目が疲れ、ストレスとなって肩こりの原因になるともいわれています。
パソコンやスマートフォンを見たり、ゲームしたりするときは、気持ちをリラックスして、自然なまばたきを心がけましょう。<br>
参考文献:「所教授の眼科レッスン Q&A100」所 敬著、自由企画・出版
「眼の健康の科学 テクノストレスの予防から角膜移植まで」坪田 一男著、講談
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